変更はiOS10.3で突然やってきた。
ファイルシステムです。Apple File System
巷で流行っているPPAPではない。APFSです。Appleが新しく開発したファイルシステムです。WindowsであればFAT16、FAT32、NTFSときて、exFATも出ました。MacではHFS、HFS+、そして、APFSになります。一時期、ZFSを採用するかと思われましたが、自社開発へ変更になりました。
WWDCで発表され2017年に完全に変更
macOSからではなく、iOS10.3から変更させてくる方針がいかにもAppleらしい。macOSよりiOSの方がクローズな環境だからかもしれない。変換時間は通常のiOSのアップデートに少し掛かるくらいで変換され、実際の変換時間は非常に速いと思われます。
ベンチマークでは測りにくいが速い
早い。そう、まるでHDDからSSDに変えたくらい早い。iOSのアプリはバックグラウンドで動くのだが、それがやっと生きてきた感じです。ファイルの読み書きの処理がスムーズに行われており、アプリ切り替え時に待たされなくなった感じを実感出来ます。
シングルスレッドからマルチスレッド対応になったのだから当然だけど感覚的に動作が軽くなった。今まではアプリの切り替えは早かった(メモリ上にある部分は)が、イザ、画面の中でデータを表示する(SSDからの読み込み)までは一歩待たされる感覚でした。
これが今回のAPFS(Apple File System)への切り替えでスムーズになりました。
iOS10.3パブリックベータでの起動時間の変化
iOS 10.2.1 | iOS 10.3 beta 1 | 速度向上 | |
iPhone 5c | 49.12 | 41.83 | 14.84% |
iPhone 5s | 36.43 | 30.05 | 17.51% |
iPhone 6 | 29.45 | 24.43 | 17.05% |
iPhone 7 plus | 19.53 | 15.56 | 20.33% |
iPad Pro 9.7 | 20.15 | 16.43 | 18.46% |
私が家にある機器で計測した結果は上記の通りです。
見てわかるのは新しく、SSD(フラッシュストレージ)への読み書きが早い機器の向上率が高いこと。ということはHFS+ではハードウェアの性能を活かしきれていなかったものが、APFSへの変更でハードにソフトが追いついて、その性能を活かすことが可能になったということです。
ほぼ全ての処理が20%程度早くなり、より安全になれば
世界でiOSを使っている人々の膨大な時間を節約することができます。10億台のiOSデバイスが10秒短縮出来れば、1回の起動で320年の時間を短縮可能です。
OSの機能改善は今や世界レベルでの大きな変化をもたらす。
悪いソフトウェアは時間を無駄にし、地球の環境を悪くし、人の人生を無駄にする。
iOS上で大量のデータを作成してファイル処理することはあまり考えにくいが、日常、みんなが使っているアプリの切り替え等、複数のプログラム、大量のデータの読み書きを支える為に最適化されたファイルシステムに味付けされていることを感じる事が出来ました。
私はデータベースやNASの仕事でZFSも少し使ったことがあるが、大きいサーバー上でのクリティカルな動作を要求されているファイルシステムの目指す所とAppleが目指したコンシューマーユーザーが体感出来る感覚の向上を目指したAPFSの違いがよく分かりました。
早くmacOSでもブートドライブとして一般的に使える状態にして欲しいです。
macOS、iPhone、iPad、watchOS、tvOSと全てのApple製品のOS体験を1ランク向上させる素晴らしい基礎技術だと確信しました。

WWDCで期待していたことがどんどん実現しており、2017年はソフトウェアが進化していることを実感できる1年になると思います。
パブリックベータは公開されていますが、万が一でも不具合があれば、データ等の紛失が発生することも考えられます。簡単に試すことは控えて下さい。
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